![]() | 月喰ウ蟲 (1999/04) 大越 孝太郎 商品詳細を見る |
ガロ系作家、大越孝太郎の初単行本です。
これは改訂版で、ホントの初版は91年発行だそうです。
作風として共通しているのが「猟奇的」ということです。エログロや変態行為の描写もありますが、そのどれも猟奇性をベースとして作られている印象です。
絵は非常にうまい!!なので、猟奇シーンもものすごくリアルです。人によっては嫌悪感を抱く恐れもあると思います。
ほとんどの話が、凝った画面構成と独特な世界観のため、内容が頭に入ってきません(笑)。2,3回読みなおしてやっと大筋が理解できるかな…といった感じ。
特に表題作『月喰ウ蟲』が、初見では意味不明でした…。
単行本の中で繰り返し登場する「垂紅介」という人物。作品によっては女性だったり男性だったりと不思議なキャラクターです。解説でも「紅介は男なのか女なのか」と疑問視されています。
私が思うに、「垂紅介」は一つの記号にすぎず、一定のプロフィールを持った人物を主人公に当てはめているだけなのではないかと。つまり、性別はその物語に即したものであればどちらでもいい訳で、「垂紅介」は形を自在に変える、スターシステムの人物なのではないでしょうか。
深読みしなければ、「作者の気が変わっただけじゃないか」とも取れますが…。
また、画集の側面も持った本だと思います。一コマ一コマが緻密に描き込まれているので、眺めるだけでもとても楽しめます。特に『肉と限界』の見開きは圧巻。
では。